女性上司の悩み。。。部下の様子が気に入らない!
自分の既成概念に気づき、自分と相手をともに活かす交流をめざす
『セルフカウンセリング』を普及するNPO法人です。
コロナが終息しない状況の中で、オンラインでの会議や打ち合わせが増えています。
課長職にある井上さんもオンラインで業務を行うことが増えていました。
井上さんは女性でありながら、早くから役職についているエリートです。
キビキビと仕事をしていることが周りからも評価されていました。
ある日、毎週行う定例会議をオンラインで行うことになりました。
井上さんは事務所から、スタッフは自宅からオンラインで会議に参加しました。
会議の時間になり、井上さんが会議のアカウントに入室しました。
井上さんが入室すると、スタッフは皆揃っていました。
スタッフの一人、Aさんに井上さんの目が止まりました。
Aさんは3人いる男性スタッフのうちの一人で、若手です。
井上さんはAさんを見た瞬間、なぜかイライラする気持ちが湧いてきました。
会議は無事に終了しましたが、Aさんに対するイライラは消えません。
自宅からのオンライン会議はしばらく続きました。
その度に井上さんのAさんに対するイライラは募っていきました。
自分のイライラする気持ちをなんとかしたいと思った井上さんは、
ネットで検索し、セルフカウンセリングにたどり着きました。
〈セルフカウンセリングなら、自分の力で、自分のイライラをなんとかできるかもしれない〉と思い、セルフカウンセリング講座を受講することにしました。
セルフカウンセリングでは自分の心に引っかかったワンシーンを書いていきます。
井上さんは早速Aさんとオンライン会議をした時のことを書いてみました。
【Aさんとのオンライン会議の場面】
私はAさんを見た。
私は〈Aさん!どうしたの!髪がボサボサじゃない!
会社に出勤していたときはきちんと整っていたのに。
スーツは着ているけど、髪がボサボサなのは変でしょ!
まるで寝起きと言わんばかりの様子だわ。
仕事の時はちゃんと身だしなみを整えるべきでしょ!
でも、部長は何も言わない。
Aさんの様子を気にしているのは私だけかしら。
私だけしか気にしていないなんてイヤだな。
私の気にし過ぎなのかも。
あ?でも、イライラが抑えられない。。。どうしよう
ダメダメ、抑えなくちゃ!
今はがまん、がまん〉と思った。
井上さんが書いたオンライン会議の場面をリポートとして
提出すると、講師から次のようなメッセージが帰ってきました。
【講師から井上さんへのメッセージ】
Aさんとの場面によく取り組まれました。
Aさんに対する思いが具体的に書き表されていました。
素晴らしいです。
Aさんに対する心の中の思いには、
井上さんの、仕事に対する大事なモノサシ(価値観)があるようです。
井上さんはAさんの髪型を見て、ボサボサであると否定的に評価しています。
その否定的評価の奥には仕事の時の髪型はこうあるべきというモノサシ(価値観)
があるように思いますがいかがでしょうか?
井上さんが自分のモノサシ(価値観)に気づくことができると、
自分のモノサシ(価値観)を横に置いて、ありのままの相手を受け入れることが
できるでしょう。
また、真に相手と信頼関係を築くことを願うのであれば、
自分のモノサシ(価値観)を相手に率直に相手に分かりやすく伝えることも必要かもしれません。
井上さんは講師からのメッセージを読んで驚きました。
自分のモノサシ(価値観)でAさんを見ていたこと、
自分のモノサシ(価値観)でAさんを否定していたこと、
講師から言われるまで全く気づいていませんでした。
井上さんは、Aさんとは、これからもスタッフとして一緒に仕事をしていきたいと願っていました。
そこで、井上さんは思い切ってAさんに、今回発見した自分のモノサシ(価値観)について率直に話してみることにしました。
私たちはいつでも周りの人、事、物を自分のモノサシ(価値観)に照らして見ています。
自分にとって、好ましいか、好ましくないか、
自分にとって、都合が良いか、悪いか、
自分にとって、便利か、不便か、というように。。。
モノサシ(価値観)はその人にとって、かけがえのない大事なものです。
ただ、そのモノサシ(価値観)がある故に円滑なコミュニケーションが阻害される場合もあります。
自分のモノサシ(価値観)で相手を裁いているうちは、本当の交流は生まれません。
“いつでも自分のモノサシに気づく”ことが大事です。
自分のモノサシ(価値観)に気づくことで、自分のモノサシ(価値観)をちょっと横に置いて、ありのままの相手を理解し、心をつないで交流することが可能になります。
ダイバーシティ(多様性)経営、ジェンダー平等が叫ばれる昨今ですが、それを達成するためには一人一人が、まずは自分のモノサシに気づくことがもっとも基本的なことであり、もっとも大事なことであると思うこの頃です。
(セルフカウンセリングは商標登録されています。)