セルフカウンセリング®という心理学(自己発見心理学)に基づいて、企業研修としてコミュニケーショントレーニングを行ったり、コミュニケーショントレーナーの資格取得のためのセミナーを企画運営しているNPOです。このコラムでは、セルフ・カウンセリングにまつわる様々な情報をお伝えしています。
セルフ・カウンセリングの創案者である渡辺康麿先生は、かつて公民館や社会教育館で、主婦の皆さんを対象にセルフ・カウンセリングの手ほどきをしていました。
そして、参加者の皆さんの体験記を、「妻たちのセルフ・カウンセリング」というタイトルで雑誌に連載していました。
その体験記の一部を、ご本人の承諾を得て、ブログで紹介していきたいと思います。
今回は、岸本芳恵(仮名)さんの体験記の第4回です。(全6回)
(前回までのあらすじ)
ご主人は、岸本さんが外出すると不機嫌になります。
岸本さんはご主人の顔色をうかがいながら外出することに窮屈さを感じています。
岸本さんは、もっと気軽に外出できるようになりたい、との思いからセルフ・カウンセリングを学び始めました。
講座に参加して、セルフ・カウンセリングの書き方のルールを学んだ岸本さん。
書き方のルールに沿って、ご主人とのやりとりを書いてみました。
記述に書いたのは、お嬢さんの通う中学校のPTAの役員についてのやりとりです。
岸本さんは、昨年役員を引き受けました。そして今年も引き続き役員を引き受けたいと思っていました。
けれども、ご主人は「1年間やったんだから、もうやらなくて良いじゃない」と言いました。
そんなやりとりを記述してみて、自分が、来年も役員を引き受けたいと思っている事を、まったく口にしていなかったことに気づきました。
岸本さんは、「やりたくないけれども、仕方がないからやらざるを得ないじゃないの」と言うように、ご主人に訴えていたのです。
岸本芳恵(仮名)さんの体験記 その4
◆夫なりに思いやってくれていた
これでは、夫が、
「無理することはない。受けないと決めたら、受けなければいいさ」
と言うのも、当たり前だなと思いました。
また、このときだけではなく、私はPTAの用事で家を出るとき、いつも、
「本当は家を空けたくないけれど、仕方がないのよ」
と夫に言い訳をしながら家を出ていたことにも気づきました。
〈夫は、きっと、私が嫌々PTAの仕事をしていると思っているんだろうな〉
と思いました。
記述を読み返すまで、私は、夫は私の気持ちを全然理解してくれていない、と感じていました。
けれども、記述の真ん中の縦線を境にして、自分と相手とを分けて読み返すことで、
そうではなかったことが見えてきました。
夫は、夫なりに私の気持ちを推察してくれていたのです。
〈PTAの仕事を引き受けたくないのに、引き受けざるを得なくなって困っているんだろうな〉
というように。
そして、そんな私の気持ちを、夫なりに思いやってくれていたのかもしれないな、と気づきました。
◆いつも夫に言い訳していた
ここまで、気づいたとき、肩の力が抜けるようなホッとした気持ちになりました。
〈夫は夫なりに私のことを思いやってくれていたんだ〉と、夫に対する信頼感が、再び私の中から生まれました。
けれども、一つだけ心に掛かっていることがありました。
それは、私が、PTAの仕事を楽しいと思っていながら、それを、夫に言葉にして伝えていなかったということです。
〈なぜ、私は、PTAの仕事が楽しいと言うことを夫に伝えなかったんだろう〉。
そんな問いが私の中に生まれました。
それと共に、これまで、似たようなことが何度も繰り返されていたことも思い起こされてきました。
高校時代の同窓会の知らせが届いたときのことです。
早くみんなに会いたいと思ったクセに、夫には「本当は出席なんてしたくないんだけれど、
幹事になった友達に頼まれたから欠席するわけにはいかないのよ」と言い訳していた私。
趣味で続けていた書道で、先生から展覧会への出品を勧められた時のことです。
嬉しくて誇らしくて天にも昇る心地だったのに、夫には「そんな晴れがましいことに興味はないんだけれど、
他のお弟子さんが、誰も出品しないから、私が出さざるを得ないのよ」と言い訳していた私。
〈なぜ、私は自分の気持ちを素直に夫に言えないんだろう〉と不思議に思いました。
(つづく)
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