セルフ・カウンセリング®という心理学(自己発見心理学)に基づいて、企業や個人を対象にコミュニケーショントレーニングを行ったり、コミュニケーショントレーナーの資格取得のためのセミナーを企画運営しているNPOです。
【活動報告_2023年8月25日実施】
先生のための人権教育
~先生の人権意識向上が子どもへとつながる現場をめざして~
横浜市青葉区みたけ台中学校ブロック教職員合同研修会による教員夏季研修として
人権教育≪自分も相手も大切にできる コミュニケーション実践をめざして≫
人権尊重のためのコミュニケーション研修が開催されました。
当協会では、講師としてサポートいたしましたので、その様子をレポートいたします。
横浜市青葉区みたけ台中学校ブロックでは、毎年、1中2小の教職員が合同で「人権教育」をテーマに研修会をされているそうです。
人権教育では、文部科学省の「学校における人権教育の目標」でも、以下のように示されており自己理解・他者理解及び実践的なトレーニングを兼ね備えたセルフ・カウンセリング🄬由来のコミュニケーション・トレーニングに注目していただきました。
----文部科学省の「学校における人権教育の目標」の一部---------
[自分の大切さとともに他の人の大切さを認めること]について、そのことを単に理解するに止まることなく、それが態度や行動に現れるようになることが求められる。一人一人の児童生徒がその発達段階に応じ、人権の意義・内容や重要性について理解し、[自分の大切さとともに他の人の大切さを認めること]ができるようになり、それが様々な場面や状況下での具体的な態度や行動に現れるとともに、人権が尊重される社会づくりに向けた行動につながるようにすることが、人権教育の目標である。
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このような経緯から、今年度は、講義を聞き、知識を高めるだけでなく、学校での教育活動や日常生活にいかせるようなコミュニケーション研修を企画され、当協会では、講師としてサポートさせていただくことになりました。
講師は協会専任講師の宮澤と山下です。
研修は下記の流れで進みます。
1 自分を知り自分を受けとめる
ワーク:好ましい 好ましくない はどこから?
2 くい違い、思わぬ言葉の奥にある心のカラクリを理解する
自己評価欲求・自己評価不安・自己評価のやりくりの理解
ワーク:相手の不安と自己評価のやりくりを考えてみよう
3 自分も相手も大切に受けとめる言葉を発想する
押し付ける対話・引き出す対話・伝え方のコツと順序3か条
ワーク:相手の気持ちを受けとめる言葉を発想してみよう
コミュニティルームに60名を超える先生方が集まり、研修は行われました。
今回は3校合同の研修ということでした。日頃顔を合わせている先生方と思いますが、研修という場に少し緊張している雰囲気を感じました。
一つの机に4人が座り、研修はスタートしました。
研修の最初に講師の山下から狙いについてお話しさせていただきました。
「今日の研修は自分の大切さとともに他の人の大切さを認めることを狙いにしています。自分を大切にするとは、今のありのままの自分を自分で認められることです。
他者との比較ではなく、今の自分自身を受け入れられることが大事です。先生方は生徒や保護者を大切に思って日々対応しておられることと拝察致します。価値観が多様化する中で、様々な価値観を持っている生徒や保護者に対応することはご苦労も多いことと思います。そうしていると、自分のことは忘れがちになるかもしれません。けれども、まずは自分を大事にしていただきたいと思います。それによって自分自身と同じように、他者のありのままを認め、受けとめることができるようになります。
一人ひとりの差異(個性)を活かすかかわり方もできます。自他を大切にすることを日常の中で体感し、実感できることが人権感覚を養うことにつながります。」
この言葉によって会場の雰囲気が一気にほぐれることを感じました。講師の言葉に深くうなずいている方がいたり、硬い表情が和らぎ笑顔になられる方もありました。
その後、先生方はテーマに沿って設定されたワークシートに熱心に取り組まれました。
「好ましい 好ましくない はどこから?」のワークでは「あなたにとって、どのような人が好ましいでしょうか?また、どのような人が好ましくないでしょうか?」を「相談に乗ってくれる人、意見を言ってくれる人、文句が多い、仕事を丸投げしてくる」などの記入例に基づいて書き表していただきました。
記入した後、グループで共有し、顔見知りの方がいる中で自分の“好ましい、好ましくない”を書き表して発表することは大変勇気のいったと思いますが、それぞれに発表いただき、みなさま、率直にお書きになられたことが分かり、大変印象深く残っています。
研修の後半では、自己評価欲求と自己評価不安について解説しました。生徒、職場の後輩、保護者の不安な気持ちを読み取るワークにも取り組みました。ここでも先生方は各々の不安な気持ちを適切に読み取り、相手の不安な気持ちを受けとめる言葉がけまで発想できていました。
研修の最後に、みたけ台中学校の羽田敏隆校長先生から次のような言葉を頂きました。
「不安な気持ちって先生であっても生じることがありますよね。自分も不安になることがあるなって思います。
この研修を通して、自分には不安な気持ちがあるんだと自覚できることが大事だなと思いました。
不安になることを恐れずに不安である自分を受けとめていきましょう。それが生徒や保護者の不安を理解することに繋がると思います。
今日の研修で学んだことをこれからの生徒や保護者との関わりに活かしていきましょう。」
セルフ・カウンセリング®の用語である「自己評価欲求」と「自己評価不安」をしっかりと理解された上でのお言葉であることが分かりました。
【受講者の感想】ーーーーーーー
・どうもありがとうございました。私を含めてみんなの意識が変わっていくといいです。
自分を知り客観視しながら、他人と自分の物差しの違いを理解して、立ち止まって考える場面もときに大切にして、
相手の思いに寄り添う自分になっていきたいと思います。謙虚な姿勢で、成長し合える学校、人間関係が大切ですね。
・自分の欲求(モノサシ)を決めるエピソードを思い出すことができませんでした。
良いエピソードのモノサシもあれば、あまり思い出したくないエピソードもあると思うので、難しいなと思いました。
・明るい雰囲気で小学校の先生と交流できてよかった。基本的な重要な内容の研修で、教員誰にとっても重要なスキルと考えます。
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講師より
研修で取り組んだことを日常で思い出し、生徒や保護者の気持ち、先生自身の気持ち、両方を大事にした人権尊重を実践していただきたいと願っております。
同僚や生徒、そのご家族とのコミュニケーションについて、関心をお持ちの方や、お試しを検討している方は、お気軽に「お問い合わせ」からご連絡下さい。
登壇講師(協会専任講師) : 宮澤奈美江 / 山下優子
企業のみならず教育機関でのコミュニケーション講座、企業の新入社員研修、管理者研修、就活生のためのコミュニケーショントレーニング、中高生のグループディスカッション指導法研修会など、多数の講座を担当。自身の体験談を交えて、皆様の気持ちに寄り添いながらコミュニケーション力向上を目指します。