2.「ご主人は“不安”なんですよ」― 夫との関わり ➁ ― 河上玲子

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こんにちは。

セルフカウンセリング®という心理学(自己発見心理学)に基づいて、企業研修としてコミュニケーショントレーニングを行ったり、コミュニケーショントレーナーの資格取得のためのセミナーを企画運営しているNPOです。

 理事、監事がセルフ・カウンセリングに関わって感じた各人の感想、思いつき等 あくまでも個人としての自由な意見・考え方をブログでお伝えしています。セルフ・カウンセリングを学ぶ上で、皆様の参考になれば幸いです。

 

前回に続き、理事の河上玲子さんです。

 

2.「ご主人は“不安”なんですよ」― 夫との関わり ➁ ― 河上玲子

 

基礎科のS先生も、受講生の話をよく聞いて下さいました。先生を交えての昼食の時、たまたまS先生のお隣になり、私は又夫に対する不満や悩みを述べました。 

 

夫は普段は穏やかで物静かな人なのですが、何かの拍子にカッとなると、すぐに私に物を投げつけました。手元にあるお絞りや新聞などは軽い方で、コーラの瓶や小さな植木鉢が飛んできた事もあり、その後には「出て行け‼」の怒声がくっついていました。 

 

一番ひどかったのは、旅行用のスーツケースが飛んで来た時です。この時夫は初の海外出張を翌日に控え、深夜まで慣れない準備に追われていました。スーツケースの鍵の暗証番号設定に難儀していた夫が、「こっちに来て手伝え!」と言った時、生憎、末子の授乳中だった私が良い返事をしなかったために、堪忍袋の緒が切れたという感じでした。 

 

このような経験から、私はづっと夫を強い怖い人、と思っていたのです。ところが聞いていたS先生は、事もなげに、「ああ、それはね、ご主人は不安なんですよ」とおっしゃったのです。<ええ~っ‼  不安⁉…⁉…⁉>  

 

私にとって「不安な人」のイメージは、「自信がない、気の弱い、頼りない人」という弱々しいものでした。<あの強くて怖い夫が…⁉ 不安…⁉> 康麿先生の「自己評価不安」の理論をまだ知らない当時の私には、全く理解できない事でした。 

 

しかし“不安”の一語は、私の心の奥深くにしっかりと刻まれました。 

 

その後、何年もかけて「自己評価不安」を学びました。夫の自己評価不安というものを、記述の中で初めて実感した時には、沢山の気づきと共に涙が溢れました。私の夫に対する考え方も態度も変わり、色々の工夫や努力を重ねた長い経緯があります。 

 

その中で、夫は次第に落ち着き、少しづつ怒りに駆られる事もなくなっていきました。退職し、穏やかな老後を過ごして、最後には私の事を「世界一の女房だ」と言い残して旅立って行きました。 

 

それから14年になります。生きている間にこのような平穏な時間を取り戻し、夫と共有できた事は、何より幸せな有難い事でした。康麿先生の「自己評価不安」の理論と、S先生の「この時のこの一言」のお陰だと思っています。 

 

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コメント: 2
  • #1

    東 由紀子 (木曜日, 15 9月 2022 10:08)

    大変な経験をされたのですね。
    不安だからの行動は驚きです。
    最後に奥様に言い残された言葉は素敵ですね。良かったですね。

  • #2

    河上 玲子 (金曜日, 16 9月 2022 21:06)

    東 由紀子様
    コメント有難うございます。今回ブログに書くことで、こうして言葉にしてみると、本当に大変な経験だったなぁと、自分でも思います。
    でも実際には、年中こういう状況だった訳ではなく、夫は普段は大人しい常識的な人間でした。それが何かの拍子に心の奥にある大切なものに抵触すると、突然カッとなるのです。
    古来、「逆鱗に触れる」とか「虎の尾を踏んだ」とか言う表現がありますが、きっと同じような心のカラクリによる現象の事を言っているんだろうな…、と私は思っています。
    相手の怒りの原因が「不安」だと思うと、怒りに対抗して争うよりは、その不安について知りたいと思うようになりました。とりあえず相手の言うことを受けとめ、手探りでもいいから相手の思いを推察し、分からなければ問いかけ、その答えを更に受けとめながら、少しづつ少しづつ近づいて行ったように思います。
    時間はかかりましたが、今から考えればこれが、“相手に寄り添う”という事だったのかも知れませんね。