「ココロとカラダをスッキリ!!」(その13)  牧野妙子

写真はイメージです(PhotoACより)
写真はイメージです(PhotoACより)

こんにちは。

セルフカウンセリング®という心理学(自己発見心理学)に基づいて、企業研修としてコミュニケーショントレーニングを行ったり、コミュニケーショントレーナーの資格取得のためのセミナーを企画運営しているNPOです。

セルフ・カウンセリングに関わって感じた各人の感想、思いつき等 あくまでも個人としての自由な意見・考え方をブログでお伝えしています。セルフ・カウンセリングを学ぶ上で、皆様の参考になれば幸いです。

前回に引き続き、専任講師の牧野妙子さんです。

 

(前回までのあらすじ)

 

夜遅くに晩酌をするご主人に不満を感じていた春美さん。

ご主人の健康を心配して、「早く切り上げて早く寝て下さいね」と声をかけます。

けれども、春美さんの言葉はなかなかご主人に伝わりません。それどころか、春美さんが言えばいうほど、ご主人の晩酌の時間はどんどん長くなっていきました。

春美さんはセルフ・カウンセリングでご主人とのやりとりを見つめてみました。

 

◇ 春美さんが書いた記述(セルフ・カウンセリング)

 

主人は冷蔵庫からビールを持って来た。

私は〈あっ、また晩酌が始まる。ここからが長いのよね。ビール飲みながら、テレビを見ながら、ゆっくりゆっくり食事をする。今からだと、食事が終わるのは11時過ぎかしら。早く片づけてノンビリしたいのに、何時まで経っても片付かなくてイライラする。

食事が終わってから片づけなくてはいけない私のことも考えてほしいわ〉と思った。

私は「晩酌は早く切り上げて下さいね。身体のことも少しは考えないと」と言った。

 

◇ 思ったことと言ったことがくいちがっていた

 

書いたものを読み返してみと、春美さんは、自分の思いと実際に言ったことがくいちがっていたことに気づきました。心の中では、早く片づけてゆっくりしたいという思いがありました。けれども、実際には、「あなたの身体が心配」と言っています。

思ったことと言ったことがくいちがっている時、そこにはコミュニケーションのヒントが隠れています。

春美さんは、自分の気持ちを素直にご主人に伝えられなかった気持ちを、心のセリフの中に書き加えてみました。

 

◇ 私のわがままなんじゃないかしら

 

〈早く片づけてノンビリしたいのに、何時まで経っても片付かなくてイライラする。食事が終わってから片づけなくてはいけない私のことも考えてほしいわ〉という心のセリフに続いて、こんな気持ちが表現できました。

 

〈でもね、晩酌をゆっくりしたいという主人の気持ちも分からないでもない。唯一の楽しみだものね。毎日本当に大変だと思う。せめて晩酌してノンビリしたいよね。その楽しみを、私が楽をするために奪うのは、私のわがままだ。あっ、でも、夜遅くまで晩酌するのは、主人の身体のタメに良くないことも事実だ。そのことを言って、晩酌を速めに切り上げてもらうのは、私のわがままにはならないよね。主人のために言っているのだから〉

 

◇ 自分のモノサシを守ろうとしていたんだ

 

春美さんは、自分が楽をするために主人の楽しみを奪うことは、私のわがままだと感じていることに気づきました。

「わがままを言わないこと」というのは、春美さんの大切なモノサシでした。

春美さんは、「わがままを言ってはいけない」「周りの人、相手の人のことを考えて振る舞うべき」とご両親から繰り返し言われて育ってきました。その中で、「わがままを言わないこと」というモノサシが春美さんの中に取り込まれました。

そのモノサシで自分を否定的に評価すること、つまり、春美さんが感じる「わがまま」な振る舞いをすることは、何よりも許しがたい事だったのです。

春美さんは、無自覚のうちに、自分をまもるために、自分の本心を抑えて、「相手のためを思っている」という形で言葉がけをしていたのです。

(つづく)

 

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コメント: 4
  • #1

    東 由紀子 (金曜日, 24 3月 2023 10:09)

    夜遅くの晩酌は心配になりますね。
    ご主人の体が気になりますね。
    ご自身のお気持ちは理解できますが、寄り添って晩酌中にお話しするべきですね。料理を充実させてお酒を飲まなくする工夫をすべきです。

  • #2

    三田典子 (金曜日, 24 3月 2023 11:34)

    牧野先生
    ブログを拝読し、亡き夫との沢山の場面を思い出しています。
    お酒をやめてほしい私と「アルコール消毒は万全だ」と豪語する夫との戦いでした。
    場面は、亡くなった後に記述しましたが、心のセリフにはやはりとびがあり、本当に伝えたいことは言っていませんでした。言っても聴いてはもらえなかったような気もします。
    その話を宮澤先生に話した折、宮澤先生が「ご主人は飲みたかったのですねー」とおっしゃいました。
    その言葉を聞いて、私はなんだかホッとし、温かい思いを抱いたことをよく覚えています。
    〈そうだなー、主人は飲みたかったのだなー、沢山飲んで早く逝ってしまったけど、幸せだったかも知れないなー〉と思いました。
    探究で得られた安堵感ではありませんが、たまには良いですね。
    今は、どうして夫の生前に記述しなかったのか考えています。
    感想というより思い出話になってしまいました。
    ありがとうございました。

  • #3

    東 由紀子さんへ 牧野妙子より (金曜日, 24 3月 2023 12:39)

    東由紀子さん
    いつも読んでいただき有難うございます。
    一日の終わりにゆっくり晩酌したい主人の気持ちは分かっても、やはり身体のことが気になりますね。
    東さんがコメントして下さったように、主人の好きな料理を作り、二人でゆっくり話し合う機会をつくることは大事だと思います。

  • #4

    三田典子さんへ 牧野妙子より (金曜日, 24 3月 2023 13:09)

    三田先生
    コメント有難うございます。
    このブログを読んでご主人との場面をたくさん思いだして下さったのですね。
    お酒はやめてもらえなかったけれど、温かい気持ちで当時のことを思い返されているように感じました。
    それは、ご主人の気持を大事にされてきたからではないかなと思いました。
    身近な人の方がなかなか記述できないように思います。距離をとるのが難しいからかもしれません。
    ステキな思い出を聴かせていただいてありがとうございます。