セルフカウンセリング®という心理学(自己発見心理学)に基づいて、企業研修としてコミュニケーショントレーニングを行ったり、コミュニケーショントレーナーの資格取得のためのセミナーを企画運営しているNPOです。このコラムでは、セルフ・カウンセリングにまつわる様々な情報をお伝えしています。
12月のブログも生江規子先生の「コンプライアンス研修に参加して、学んだこと・気づいたこと」をお送りします。
えっ!?この言葉も要注意なの?
第4回目の研修の資料は、行政発行の表現の手引きでした。
市役所の職員が市民にむけて情報発信する際に、配慮が必要とされる言葉や表現について具体的に書かれてあります。私たちが日ごろ何気なく使っている言葉なども取り上げられていて分かりやすく、またハッとすることも多くありました。
日常で使いがちな言葉の例として、“父兄・サラリーマン・キーマン”などの言葉がありますが、男性名ですべて代表させるかのような印象を与える表現として、男女共同参画の観点から要注意用語となります。また、イラストなどで、女性をエプロン姿、男性をスーツ姿で表現することも要注意だそうです。
これも男女の固定的な役割分担意識を強調すると、多様化への配慮のない表現になる、ということになります。行政として気をつけたい、と書かれてありました。
そのほかにも“名簿や出席者紹介などで、常に男性を先にする”、“上司を常に男性として描く”、“必要ない場合でも、女医・女性社長・女性弁護士などと表現する”などのことも、性別に関しての公平性・中立性が問われることになる、とありました。
この冊子のわかりやすい点は、「なぜ問題なのか」ということと、「見直し提案(どうすればよいか)」ということが書かれてあることです。
言葉の見直し提案では、「父兄→保護者、サラリーマン→勤労者、キーマン→キーパーソン」という例が書いてありました。表現としては「男性も家事、育児、介護にかかわる姿を積極的に書きましょう」「名簿や出席者紹介などは、五十音順など客観的な基準に従いましょう」とありました。
上記では特に“性別”に関する表現を取り上げましたが、このほかに“高齢者や障がいのある人”、“同和問題”、“多文化共生”、“多様な家族のあり方”、“著作権・肖像権・個人情報保護”などのさまざまな観点からの言葉や表現について書かれてありました。
行政としての対応や発信をする際に、細やかに配慮していることがよく分かりました。と同時に、配慮せざるを得ない背景もあるのだろうと推察しました。
冊子の奥付を見ると、平成17年作成となっていました。その後、2回の改定がされています。作成を担当した方々の長い取り組みを思うと、私自身もこれらのことを日常の中での“人権”の問題として受けとめ、考えていきたいと改めて思いました。
※出展(参考資料)‐ 島根県松江市・人権施策推進連絡会発行「人権の観点からの公的表現の手引き」
つづく
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関香澄 (水曜日, 20 12月 2023 17:37)
何回聞いても、難しいですね。
自然に言ってしまいます。
知って良かったと思います。
生江規子 (木曜日, 21 12月 2023 16:07)
関香澄 様
コメントありがとうございます。
''その言葉は要注意"と言われたら、ドキッとしますね。研修での話し合いでも「もし言ってしまったらどうしますか?」の問いに、「素直に認めて謝ります」と皆さん答えられていました。
あまり厳しく捉えずに、それを自分の新しい学びとして活かしていけると良いですね。
今の社会にどんな差別があって、どう捉えているかに関心を向けることを大事にしたいと思っています。