自分の思い込みが上司との関係をダメにする!
自分の既成概念に気づき、自分と相手をともに活かす交流をめざす
『セルフカウンセリング』を普及するNPO法人です。
職場に行くと、朝から上司がイライラしている様子。
今日は一日、仕事がしにくいなと感じる。
このような経験をしたことは誰でも一度はあるのではないでしょうか?
会社員3年目のマサルさんは、職場に到着すると、上司のご機嫌を伺う毎日でした。
今日のご機嫌はどうだろう、と思いながら上司に話しかけます。
ご機嫌がいいとホッとし、ご機嫌が悪いと、いつ何を言われるのかと思いビクビクしながら仕事をします。
朝、お腹が痛くなることもよくありました。
病院に行くと、ストレスからくる神経性胃腸炎と言われました。
このままでは、心身ともに疲労困憊し、倒れてしまうかもしれないと不安になりました。
そこで、たまたまネットでたどり着いた、渡辺康麿氏創案のセルフカウンセリングをしてみることにしました。
イライラする上司への対応策が見つけられるかもしれないと期待して取り組んでみました。
【上司との場面の記述①】
状況:朝、いつものように職場に行くと、上司が自席にいました。
私は〈あっ、いつもの通り、早いご出勤だな。
今日のご機嫌はどうだろう。
機嫌が悪そうに見える。
いや、気のせいだ。
悪い方に考えすぎ。
きっと、大丈夫!
挨拶してみるか〉と思いました。
私は「石川部長、おはようございます」と言いました。
石川部長は「おう、おはようさん」と言いました。
私は〈よかった。
やはり今日はご機嫌だ!
ちょっとしたことでイライラされなくて済みそうだ。
今日は落ち着いて仕事ができるな〉と思いました。
【上司との場面の記述②】
状況:石川部長に頼まれた書類を仕上げて持って行った時のやりとり。
私は〈よし、書類ができたぞ。
早く部長のところに持って行こう。
モタモタしていると何を言われるか分からない〉と思いました。
私は部長のところに行きました。
私は「依頼された書類ができたので、お持ちしました」と言いました。
部長は私の書類を受け取り、書類に目を通し始めました。
私は〈あれ?どうしたんだろう。
何も言わない。
部長のご機嫌が悪くなったのかな?
タイミングが悪かった。
ダメ出しされるかな。
嫌だな。
早く離れたい〉と思いました。
部長は「この書類のフォームが分かりにくいな。
もっと分かりやすく書き直してくれ」言いました。
私は〈あー、やっぱり。
何か言われそうと思っていたんだ。
イライラしてこれ以上言われたくない。
返事をしてさっさと席に戻ろう〉と思いました。
私は「はい、分かりました」と言いました。
私は上司が差し出した書類を受け取り、自分の席に戻りました。
【上司との場面を読み返して気づいたこと】
私は上司との2つの場面を読み返して、上司のご機嫌ばかり気にしていることに気がつきました。
我ながら〈こんなに気にしていたらストレス性胃腸炎になっても当然〉と思いました。
自分のありのままの様子が見つめられると、気持ちが落ち着きました。
そこで、2つの場面を繰り返し、読み返してみると、本当に上司はイライラしていたのかなという疑問が湧いてきました。
私がビクビクしながら上司に話しかけていたので、上司の様子がイライラしているように見えていただけではないかと思いました。
書類を直してほしいというのは分かりやすい書類にするために必要なことで、イライラして言った言葉ではないと思えました。
【大学時代の教授と同じ話し方だったことからくる思い込み】
どうして上司がイライラしていると自分は思ったのかを考えている時、フッと大学時代の教授のことが思い浮かびました。
大学のゼミの教授と石川部長の雰囲気が似ていることに気がついたのです。
大学のゼミの教授は神経質な人でした。
少しでも気に入らないことがあると、イライラして注意してきました。
私はその教授のイライラの標的にならないように目立たないようにビクビクしながら研究を続けていました。
まるで、その教授と関わっているように上司に接していたことに気がつきました。
気づいたことでフーと肩の力が抜けるような気がしました。
【自分の思い込みに気づくことが、イライラに巻き込まれない秘訣!】
マサルさんのように、“上司はイライラしている”と思い込むとありのままの上司の姿が見えにくくなります。
上司のイライラに巻き込まれないためには、まず、自分の気持ちに気づくことが大事です。
それができると心が落ち着き、思い込みから離れて、相手のリアルな様子も捉えられるようになります。
更に、自分の気持ちが落ち着くと上司がどんなにイライラしていても状況に合わせて現実的な対応ができるようになるでしょう。
上司と協力して仕事も円滑に運ぶことも可能になります。
(セルフカウンセリングは商標登録されています。)